第七話
~「集う六人!天才 VS 天才」~
ここは工場の休憩所
男は設計図を見て驚いていた
男『お前、どこでこれを…?』
No.5『ん?んん、いや別に・・・』
男『誰が描いた?』
No.5『あっ、うん・・いや、あの』
男『お前!これが何だかわかるか?こんなの作れる奴は天才としか言いようがない!こんなの・・・これは発明だ・・・』
No.5『なんなの?』
男『夢をヴィジョン化する装置とでも言うべきか?何のために?これは脳波の波形を表す計算式だ』
No.5『ん~?よくわからないな』
男『簡単に言えば人の見てる夢を見れるようになる』
No.5『おお、なるほど。教えてくれてありがとう!』
男『う~ん人の夢をヴィジョン化するだと・・・可能なのか?・・・試してみたくなる』
ダイスの隠れ家
No.5は晴れ晴れとした顔で戻ってきた
No.1『フフフフ、戻ってきたな、3日間 しっかり考えてわかったか?答えを聞こう』
No.5『人の夢を見るための装置だ!』
No.1『なっ!何!?』
No.2『まさか…当たっているのか?』
No.1『ああ、夢を見てるようだ、まさか理解できるとは…』
No.2『…』
No.5『ふふん!もっと出してみろ!』
No.1『…ほう…随分と強気じゃないか?…ならこれはどうだ』
No.2『そんなに見せて良いのか?』
No.1『構わん…開発者以外は見てもわからん』
No.5『良いよ!答えを出してくる!』
No.2『待て、この場で解け』
あまりに意気揚々と返事をするNo.5をNo.2は疑っていた
No.5『え?・・・』
No.2『どうした?解いてみろ』
No.5『え、え~と・・・』
No.1『お前が解いたのではないのか?』
No.5『う~、あ、い、いや・・・あの』
No.1『時間をやる、もう一度やってみろ』
No.5『ああ、わかった!んじゃ』
No.5は足早にその場を立ち去る
No.2『なぜだ!あいつが解いてないのは明白だ!』
No.1『あいつが解いていないのは間違いない…だとしたらそのウラの人物が知りたい、泳がせる』
No.2『思わぬ糸口か?食えんな…フッ』
翌日、工場の開発ルーム
男は終業後、何かの実験をしていた
男『くそぅ、何度やってもダメだ。うまくいかん』
No.5『あ!いたいた!ねぇ今度はこれを見てくれよ』
男『今度はなんだ?』
No.1から預かった設計図に目を通す
男『これも凄い!・・・』
No.5『よく見ただけでわかるなぁ、んで何?』
男『これは切り替え機能のついた言語変換装置だ』
No.5『何に使うの?』
男『何する?う~ん目的がわからん…脳波をキャッチし人の心の動きを読んだり、思ってることを言葉に変換できるプランだ…恐らくな』
No.5『わかんないな』
男『簡単に言えばお前の考えを読み取ることが出来る』
No.5『なるほど』
男『さらに俺の考えている事をお前に伝えることができる』
No.5『あ?あ~ん?』
男『これを使えば人間がスピーカーのようになる…受信機もついてないのに可能かどうかは知らんが』
No.5『なんだかわかったような、わからないような・・・ありがと』
男『そろそろ話せ、これをどこで手に入れた?』
No.5『ん~、だめだ秘密だ…』
男『フン、秘密といわれた時点で気になって仕方がない、お前はバカだな・・・まぁいい』
No.5『んじゃ』
No.5は足早にその場を立ち去る
男『いずれわかる…泳がせるか…』
翌日、ダイスの隠れ家、自信満々なNo.5
No.1『わかったか?』
No.5『人間をスピーカーにする機械』
No.1『スピーカー?』
No.5『え?違うの?』
No.1『いや、出来なくはないな』
No.5『相手の考えを読むことができる?機械?』
No.1『うむ、決まった…誰だそれを解いたのは?』
No.5『俺だ!』
No.2『平気で嘘をつくな』
No.5『い、いや…俺だ!』
No.2『お前にわかるように言う、その男に会いたい、連れて来い』
No.5『…』
No.1『これらの設計図は普通の理屈が通じない、工学経験者に見せても馬鹿にされるのが落ちだ』
No.2『これを理解出来る奴に会いたい…やれるな?』
No.5『……多分来ない』
No.1『なぜだ?』
No.5『仲間にしようと思ったら、余計離れる…昔からプライドが高い、自分が上じゃなきゃダメな人だ…多分一緒にいたがらない』
No.5から本名を聞き出し、市民のデータベースにハッキングする
No.2『こいつか?』
No.1『見せろ』
No.2『なるほど、家業はうまくいってないが、彼の稼ぎのおかげで食い繋いでる感じだな』
No.1『ではこうしよう、連れてこれたらお前も正式加入だ』
No.5『え?今までのは?』
No.1『無しだ、そもそも貴様が解いたわけじゃない。これがテストだ』
No.5『う~ん…難しいな…』
No.1『話せ』
No.5『え?何を?』
No.1『俺たちの事を話すんだ』
No.2『バカな!足がつく、信用できなくては…』
No.1『見ろ、こいつでさえ話していない…足がついたらその時考える』
No.2『…』
No.1『天才集団だと話せ』
No.5『…わかった!行って来る!』
No.5が去るとNo.1はデータベースを見つめていた
No.1『どこかで見たような…気のせいか』
工場の終業後、開発室
男は夢を可視化する装置を実験的に組み立てていた
それがうまく行かず設計図を眺めながら工場内を歩いている
男『何度やってもダメだ、何がいけないんだ…図面が良くないのか?しかし誰がこんなものを?』
No.5『あ!丁度よかった!ちょっと見てよ!』
男『なんだ?残業か?仕事しろ仕事』
No.5『仕事はやってるよ、もう終わってるんだから良いだろ?』
No.5はオリジナルのラジコンを組み立てている
男『ああ、どれ?ん…ちゃんと出来てるじゃないか、うん…うん合ってる』
No.5『ちょっと勉強したんだ』
男『腕を上げたな、親父さん…違うな、その設計図をつくった奴の所で教わったのか?』
No.5『ああ、うん、構造の理解の仕方。ポイントを押さえれば簡単だって言ってた』
男『ほう』
No.5『天才集団なんだ』
男『天才集団?』
No.5『天才なんだ、みんなあんたより頭が良い』
男『ほう、誰も聞いてないのに、そんなことを』
No.5『俺そこに入ったんだ』
男『…』
No.5『天才集団に』
男『…』
No.5『俺も天才なんだ』
男『何だ貴様!俺には出来ないと言いたいのか!誰だそいつら!』
No.5『天才集団だ、特にリーダーのNo.1は頭がとにかく良いんだ!あの設計図が何かわかっても、どうせポイントを知らない奴には作れないって言ってた!』
男『なに!!No.1だと!?その男か!あの図面を書いたのは!』
No.5『そうだ』
男『その男はアレを完成させたのか!』
No.5『え、え~とそうだね』
男『フン、嘘だな』
No.5『いや出来てる!俺はNo.1凄いと思う!尊敬してる!』
男『尊敬だと…ほう…俺が何度やってもダメだと言うのに?出来てるだと!?』
No.5『ああ』
男『フン、確かにそれなら天才だ…だがなぜ貴様が誘われたのだ!それが納得できん!』
No.5『俺が尊敬してる人がいると言ったら「そんな奴より俺を尊敬しろ!お前の才能を俺が開花させてやる」と…』
男『…』
No.5『だから俺は仲間になった』
男『…』
No.5『俺たちの天才リーダー』
男『…』
No.5『今日も教わるんだ!俺もっと凄いの作れ…』
男『会わせろ!』
No.5『え?』
男『俺達の天才リーダーだと?気取りやがって、本当に装置を完成させたのか確かめに行くだけだ、アポ取れ!』
No.5『アポって何?』
男『約束のことだ!』
No.5『わかった…ちょっと待ってくれ』
No.5が電話をかける
『もしもし俺の…私の知り合いが会いたいって言うんだが…ですが…あ、本当ですか。忙しいのにすみません、では明日』
男『…どうだ?』
No.5『仕方ないから会ってやるって』
男『どこまでもバカにしやがる…何様のつもりだ!明日だな!いいだろう』
男は怒って去っていった
これらは全てNo.1とNo.2の書いたシナリオ通り
長年の付き合いのNo.5
そのアドリブもこたえていた
翌日…No.3、No.4が迎えに来る
男と待ち合わせをしている
No.5『うまくいった!』
No.4『やったね!』
男『遅くなってすまんな、誰だ?』
No.5『マジシャン』
男『はぁ?』
No.4『天才集団の一人です』
男『フン、そうか』
No.4『これからあなたを私たちのリーダーの元に案内します』
男『仕方ないから会ってやる』
No.3『早く乗れ!』
ダイスの隠れ家
進んでいくにつれ
確かに凄い技術の集団であることを男は感じ取っていた
No.5『着いたよ』
No.1『ようこそ!』
男『あんたかあの素晴らしい図面を書いたのは?』
男はイラつく気持ちを抑え
相手が何者なのかを見極めようとしていた
No.1『そう天才集団ダイスのリーダーNo.1だ、よろしく』
男『ダイス?』
No.3『チーム名だ』
No.1『そう、ほらNo.5』
No.5『おお!ありがとう!』
No.4『こうやってみんなで仮面つけるのさ』
男『No.1さんよ、顔見せろよ、失礼だろ、初対面なのに』
No.1『ああ、すまんな』
No.1がゆっくりと仮面を取る
男『…お前…は!?』
No.1『何だ?誰かに似てるか?それともどこかで会ってるか?』
男は過去を思い出していた
『(○○高校理数科のトップ、同じ高校の後輩だ…確か部活も一緒だった?…成績優秀でスポーツ万能だった?なぜ俺を覚えてない…)』
端から見ればずっと目を反らさず見つめ合っているよう
いや、睨み合っている異様な気迫が漂っていた
No.1は男の事をまるで覚えてない様子
男『(くそ、おちょくってるのか?俺だって結構目立ってたはずなのに覚えている素振りを微塵も見せん…)』
No.1『どうした、なぜ黙ってる?』
男『(しかも上から目線だ…ちくしょう…)』
No.1『まぁ俺の図面を解読したのは褒めてやる』
男『ダイス?ダイスだと、お前ら5人しかいなじゃないか?』
No.1『ほう気付いたか、実はあと一人足りない、我々は6人でダイス。その通り!素晴らしい!流石頭が良い。まぁどうでも良い事だが』
男『(くっそ、おちょくってる)』
No.2『あんたをここに呼んだのは他でもない、誰かダイスにふさわしい天才を知らないか?』
男『ああ?』
No.1『天才的な技術者がほしい』
男『フハハハハ!』
No.3『なんだ急に?』
男『そうか、天才を紹介してほしいのか?』
No.1『ああ、あんたが会いたいと言うのをNo.5から聞いたんだが断ったんだよ。でもな天才を知ってるかもしれないと言うので仕方なく…な。と言うわけだ』
男『…沢山知っている。何気にうちの企業はある部分にかけてはトップを走ってるからな、有能な技術者はいくらでもいる!』
No.2『そうか、良かった』
No.1『なら紹介してもらおうか』
男『良いだろう…俺だ!』
No.2『(フ、乗ってきた)』
No.1『ん?誰があんたを紹介しろと言った?俺が言ったのは天才だ天才!』
No.2『(No.1まだやる気か?)』
男『お前らが持ってるマスク…1、2、3、4、5…貸せ!』
No.5『ああ!』
男はNo.5の持っていた銀の仮面を奪い取る
男『そうなると残りは6か、良いだろう!この中では一番数が多い!大物は最後にやってくる!俺がトリだ!』No.2『(なんて勝気なんだ)』
男『この集団で俺が一番の天才だと証明してやろう』
No.2『ほう、No.1に勝てるのか?』
No.5『No.4は化学に長けてるんだよ』
男『どうでも良い!』
No.4『…』
男『No.6』
No.5『え?』
男『お前らそう呼び合うんだろ?なら俺はNo.6』
No.1『入りたいのか?』
男『入ってやるんだよ、これで完成だろ?』
男は奪い取った銀の仮面を顔に当てる
一人は社会への復讐のため
一人は責任を果たすため
一人は家族のため
一人は夢のため
一人は友情のため
一人は頂点を目指すため
ここに6人が集う
No.6『天才集団ダイス!』
…
これは始まりにすぎない
ここからダイスの静かな攻撃が始まる
…
ダイス結成秘話編、完結