Story

第十二話

『目覚め』

21時を過ぎるとある場所に集まりだす。
そこは寂れた飲み屋街、今は細々と営業する店がポツポツとあるだけ、静まりかえった夜…

No.1『転送実験は大きな成果をあげた、狙った企業は悲鳴をあげている』

No.3『恐ろしい奴だあんたは』

No.1『ハッハ!まぁな、意志言語転送装置は情報戦用マシンだ』

No.3『意志言語転送装置?』

No.1『そう名付けた、これは電波を介し我々の意志を対象者の言葉を持って伝える』

No.2『なるほど、そのままだな』

No.6『フン、センスが固いな、だがそれを使うにはここに箱詰めだ!』

No.4『小型化とか?』

No.6『…』

No.1『フン!出来ないだろ!』

勢いよく扉が開く

No.5『遅れてすまん!』

No.2『ああ、まぁいなくても良かったがな』

No.5『…』

No.1『よし、全員揃ったな』

No.2『始めてくれ』

No.6『フン』

No.1『我々の目的は社会への制裁と理想郷の実現だ』

No.6『前々から疑問だが、本当に出来ると思ってるのか?』

No.1『そう言うと思っていた、だから今後も同じように何度か実験を繰り返す』

No.3『実験?』

No.1『そうだ、我々の考えてるものを築くには予算も労力もかかる』

No.4『何度か実験をして効果を図るんだね!その後大きく出る!』

No.1『ああ、そうだ』

No.6『次の対象物はどこだ?』

No.1『白河だ』

No.3『白河!?』

No.2『企業ではない、街そのものを対象にする…か』

No.1『我々の住みなれた場所、馴染んでるだけに何かあっても対処しやすい』

No.2『人口も6万ほど、狭くも広くもなく、いりくんだ城下町。隠れやすく逃げやすい、慣れてる俺達にはな』

No.6『ほう、格好の材料だな』

No.1『暫くはここでのデータを取る』

No.6『で?次の作戦は?』

No.1『ああ、これだ』

No.5『なんだこれは?』

No.6『人の夢を見る装置だな』

No.3『人の夢?何のために?』

No.1『まだ出来るかわからんが、ゆくゆくは夢を様々な物に変換する』

No.3『悪夢とか?』

No.4『何のために?疲れさせるって事?』

No.5『寝れないの嫌だな…』

No.1『それだけではない、深層心理に我々が導く方向をインプットする』

No.6『夢で意識を操作…マインドコントロール…と言うことか』

No.3『だがそんなの俺達に何の得が?』

No.1『わからんか?人は困難な状況に直面すれば救いを求める』

No.5『救い?』

No.1『まぁ良い…今にわかる。早速だがプロトタイプの製作に入る』

No.6『これは前のようにはいかん、転送装置とは違い、人に直接接触しなければならない』

No.1『もちろんだ』

No.6『だとすると、貸せ!』

No.1『何をする!』

凄い勢いで紙に描いていく…

No.6『こうだ!』

No.2『着用型のスーツ?』

No.3『なるほど、着ちまえば動きやすい!』

No.1『フン、着用型のスーツなど考えていたわ』

No.5『こういうのパワードスーツって言うんだぜ』

No.2『漫画の読みすぎだ』

No.5『…』

No.1『ゴーグルをヴィジョンにして、腕に回路を…』

No.2『これはすぐに出来るのか?』

No.1『いや、先ずは腕だけで良い。キャプチャーを作ってPCで実験データを取る、コードネームはドリームキャプチャー!』

No.2『そのままだな…』

No.6『ダサい』

No.4『何かいい名前を!』

No.5『え、え~と…』

No.1『うるさい!名前などどうでもいい!やるぞ!』

ダイスが新しいマシンの製作に入る一方
ダルライザーは次の機会に備えていた

ダル『99…100!…はぁはぁ、きつい…あと2セット!』

(No.1『街を変えようと言うのはわかる…だが貴様には執念が足りんのだ!』)

(母『あんた今、目が死んでるよ、ちゃんと将来考えてるの?何のために働くかわかる?生きるためよ!夢ばかりじゃ食えないのよ!』)

ダル『101!…102!』

(仲間『俺にもそれ着せてくれよ』)
(ダル『ちゃんとトレーニング積んでからなら…』)

ダル『俺は証明する!…167、体現する!168!』

(仲間『すごいな、出来たのか!』)
(仲間『グッズ作ろう!』)
(ダル『いや、それはまだ早いですよ』)
(仲間『なんだそうやってまた自分の意見だけか』)
(ダル『そういうわけじゃ…』)

ダル『まずは信念を伝える!…297!努力せずに生まれる価値などない…298!それを…299!見せるんだ!300!終わった~!はぁ…はぁ、俺の信じる道…』

突き刺さったダイスNo.1の言葉がダルライザーを変える
今までの全てを振り返っていた

(医者『これは治らないんです、通常どんどん進みます』)
(ダル『…好きなことやらせてくれよ…』)
(母『そんな事言わないで、まずは生活の改善だよ!』)
(ダル『…』)
(医者『段々数字が安定してきましたね!』)
(母『ほら!あんたが頑張ればね!』)
(ダル『…俺じゃない母さんのお陰だ…ありがとう』)
(友人『大丈夫か?良くなったのか!マジか!良かった!』)
(祖母『本当に心配したよ、代われるなら代わってやりたかった、良く頑張ったね~』)

ダル『俺の命は生かされた命!だからヒーローを作ろうと思った!諦めなければ何かが変わる!身をもって体感したことを人々に伝え、沢山の人を立ち上がらせる!

…それが

俺の執念に勝る、信念!』

トレーニングの日々は続く
ダイス6人に攻められ、怖くて動けなくなった恐怖を思い出し
それに打ち勝つべく

とある日

ダル『どうした?』

友人『最近何だか寝ても疲れが取れなくて』

友人『俺何て金縛りになったよ、あれって夢見てるのが現実に見えるんだよな!すげー怖くてさ黒ずくめ三人が俺の事見てんだよ!』

友人『マジで!?俺も金縛りなって同じの見た!』

…隣から聞こえる声…

女『…金縛りでさ銀色の…』

ダル『…皆金縛り?しかも黒ずくめ…銀色の顔?』

友人『おい…おい!どうした?』

ダル『あっ!ごめん!』

友人『すごい集中力だな、何を考えてた』

ダル『いや、別に…んじゃそろそろ行くよ!』

友人『あいよ、お疲れ!またな!』

ダル『…ダイス…か?…だとしたら目的は何だ?…ここで引いたら…何のためにこんな事をしてる?コスチュームを着るだけか?…奴等だって人間だ。今、何かが動き出している…調べないと』

街が寝静まった夜…

No.1『やれ…』

No.4『よっ…』

市民『…う、ぎぎ…』

No.2『実験データを取る』

No.1『夢は見ているか?』

No.2『ああ、見てる』

No.1『キャプチャー開始!』

No.2『キャプチャー開始』

…ギュイーーン…プスッ、シューゥゥゥン…

No.2『ダメだ、失敗だ』

市民『は!誰だ!』

No.4『はいよ!』

市民『う…グー』

No.2『その薬は効果的だ、フッ…』

No.1『…行くぞ』

毎晩行う実験は失敗続き
その原因に頭を抱えていた
ダイスのアジト

No.6『フン!やはり無理だ。空想と現実は違うのだ!』

No.1『貴様も言うだけだな、何も出来んくせに』

No.6『何!見せてみろ!貸せ!フン!これが?こうか?』

No.1『クックック…よし…』

No.6『これでダメなら原因は他にある』

No.1『ああ、なぜ今までダメだったのか確信が持てるな』

No.6『フハハハ!貴様の頭の方がと言う意味だ!』

No.1『…証明してやろう、クク。よし!街に出る!』

No.4『どこに?』

No.1『これを見ろ』

No.2『…しらかわSOULフェスティバル!?』

No.3『狂ったか?』

No.1『いや、正気だ。街のイベントだ』

No.6『バカな!人がたくさんいるぞ!』

No.1『だから良いのだ!』

No.6『なっ!?』

No.2『…なるほど、木を隠すには森の中、イベントに現れても、俺達は出演者にしか見えない…だろ?』

No.1『そうだ』

No.4『外でマジックやれば大道芸にしか見えないもんね!スタイリッシュマジシャン』

No.5『おお!確かに!』

No.3『なるほどな…大手をふって実験が出来るって事か?』

No.2『普通は暗躍するものだが、あえて街に溶け込む。街も市民も、まさか自分達が実験台になっているとは誰も思わない』

No.6『だからイベント会場を選んだのか…フハハハ!面白い!』

No.1『行くぞ!街を占拠する!』

ダイス達『了解!』





…… ダルライザーショー1stに続く